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* 真密度の分布は正規分布になると仮定するのが適当である。この正規分布を、平均値を、分散をとして、で表す。
* 真密度の差の正規分布は、平均値が零で分散が二倍の正規分布で表せる。
* よって、真密度の差の95%は、差の正規分布の標準偏差の1.96倍以内、即ち、の範囲におさまる。
* この範囲は、ニッケルスラグについては平均値の1.2%、カッパースラグについては平均値の1.4%である。
* これらの数値を丸めれば、真密度の範囲としては、±1.5%が適当と結論できる。
(c)粒径分布に基づくクライテリア
 粒径分布を代表するパラメータとしては、有効径D10が適当である。試料に大きな塊が入ることによるD10の変化を避けるために、他の代表粒径を用いることも検討したが、最大粒径を規定するのが最も良いとの結論に達した。よって、粒径分布のクライテリアは、最大粒径が同じという条件下で計測されたD10に基づいて決定する。
 粒径分布についても、真密度の場合と同様に、船舶艤装品研究所に依頼して粒径分布を計測していただき、そのバラツキを解析したが、粒径分布はバラツキが大きく、真密度と同様の考えを適用するのは適当では無いことが分かった。そのため、粒径分布については、以下のクライテリアを用いるべきと考える。
「試験済みの試料が液状化の恐れが無いと判定されている場合、試験済み試料よりもD10が大きい場合であって、且つ、真密度及び製造工程等の条件を満たしている場合には、その物質も液状化の恐れが無いと判定できる。」

 

3.3.4 まとめ
 以上により、液状化物質判別試験の結果液状化物質では無いと判定されている同一の製造過程の物質がある場合について、判定の手順をさらに詳細に記述すれば、以下の通りとなる。
? 試料の最大粒径を調製し、粒径分布を計測する。
? D10がクライテリアより大きければ、液状化物質では無いと判定し、終了する。
? 真密度を計測する。(液状化物質判別試験のためにも必要)
? 真密度及び粒径分布に基づき、液状化物質では無いという過去の試験結果が適用できれば、当該物質も液状化物質では無いと判定し、終了する。
? 液状化物質判別試験を実施する。
? 試験結果(排水後の飽和度)に基づき、液状化物質か否かを判定する。

 

 

 

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